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1.引き渡し直後から壁のひび割れを発見。
今回のご相談は、平屋の新築施工でマイホームを建てましたが引き渡し直後から壁のひび割れを発見して気になったので施工会社に相談をしてトラブルになったケースです。
施工会社に依頼して一度は補修をしたが、その後、再度ひび割れしてしまいおかしいと思い何度か施工会社に相談をしたが、住まいが地方という事もあり、争う事を避け、妥協をしてしまったようです。
2.知人の塗装会社のミスだと主張し始める施工会社。
家を建てる時に建築は施工会社に依頼をし、塗装業を営んでいた知人がいたとのことで施工会社と調整し外壁塗装は知人に依頼するに至ったようです。今回の外壁のひび割れの事を施工会社に相談したところ塗装の仕方に問題があるかの様な主張をしたそうです。知人の塗装会社がしっかり仕事をしないからひび割れを起こしたのだと主張していました。素人では判断が出来ずに悩んだ挙句にホームページで探して日本住宅監査学会に相談を頂きました。
3.塗装の専門的な知識を持ち出し施工の欠陥を認めない施工会社。
住監にご相談頂き、施工会社に再度、質問をしました。そこでの返答は「通常、モルタル外壁の塗装には伸縮性に優れた塗料を使用し、クラックが発生しても塗膜に割れができないように施工しております。」との返答。確かに現状の塗装は伸縮性のあるものではないものでした。
そして「伸縮性のある今より良い塗料を使用して当社で塗装をさせてほしい」と連絡がありました。伸縮性のある塗装を使用して今後も生じる亀裂の隠蔽も出来るという考えでいたのではないでしょうか?
4.目先ではなく長い目で見て対応をして下さい。
初期に起こる軽微な壁のひび割れだと施工会社が主張をしていましたが、その際に補修をしたコーキングの補修もその後、その箇所はさらに亀裂が進行した事を確認しました。
その一連の流れを見て、塗装が原因ではなく今ある外壁を剥がして下地からしっかりと確認した上で将来的にも亀裂が生じない健全な建物に是正をしてもらうことをアドバイスしました。しかし、塗装で亀裂を塗り隠す補修を押し通す施工業者に、ご依頼主が妥協する形となってしましました。マイホームは一生の居場所です。長期的な視点で見れば今、欠陥があるという事はその欠陥がさらに悪化します。何十年も後になって家が大変なことになっても実費で対応をしなければなりません。本来、施主が負担するものではなかったのにご自身が負担しなければなくなるのです。業者に騙されて妥協する事はとても恐ろしい事です。
長期的に考えてその時にしっかりと対応をする事が最善の策になります。
5.最後に。
今回は、施工会社が塗装に問題があるヘアークラック(補足1)だという認識で施主様に話をしておりました。しかしコーキング補修後も亀裂は進行し、塗装の問題ではないという事が分かります。本件の施工業者は、住宅保証機構の資料に記載されている「モルタルが乾燥硬化する際、収縮するため生じる細かい亀裂」という内容を主張していましたが、今回の案件はクラック(補足2) が原因です。施主様にはヘアークラックとクラックの違いはわかりません。ただ、施主様が分かるほどのひび割れだったので今回はご相談頂くことが出来ました。新居を立てた時にこれはひび割れかなと気になったら早めに相談して頂く事をお勧めします。素人では判断できないです。まずはお気軽に相談ください。
補足1:ヘアークラックとは
ヘアークラックとは軽微なひび割れです。ヘアーは文字通り「髪」です。まさに細いひび割れです。通常は塗装で対応する事になりますが、時間の経過と共に進行する事もあります。
補足2:クラックとは
建物の基礎や外壁に出来るひび割れの事です。当然、基礎や外壁に生じたひび割れなので雨水などが入り込むと建物の強度低下や腐食が生じる事になります。この場合は後々、甚大な損傷を及ぼす危険性がありますのでひび割れを見つけた時点でご相談頂くことが望ましいです。